筑波大附属中学・高校 Wikipediaより
今回お話するのは、中学受験の『偏差値』について。
この数十年間、中学受験に限らず、受験業界では各学校の『偏差値』が重要視されてきました。今年も各大手進学塾から、最新年度の偏差値ランキング表が発表され、それを元に多くのご家庭が受験校を選んでいます。しかし、偏差値が高ければ、(入学難易度が高い)その学校はいい学校で、一方、それが低ければ、悪い学校という一面的な見方を植えつけがちな偏差値に賛否両論があることも事実。いずれ、『偏差値』という指標が見直される日も来るでしょう。
しかし、私たちが現実的な中学受験をするためには、正しい『偏差値』の知識を身に着けておく必要があります。 偏差値に振り回されず・囚われない学校選びをするために、今回しっかりと『偏差値』について勉強しましょう。
①偏差値ってなに?!
そもそも偏差値とは、
(得点 平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50で求められ、ある人の得点が、平均点と同じだった場合、その人の偏差値は50となる。一般には教科の違いや問題の難易度の違いにより、各試験の平均点や標準偏差は異なるため、様々な試験の成績を、単なる100点満点等の点数だけで、単純に比較することは出来ない。Wikipediaより
日本で偏差値が普及したのは、戦時中から戦後にかけてからだといわれています。この偏差値は、母集団のレベルによってものすごく変動します。ハイレベルな層の偏差値50は、そうでない層の偏差値50と明らかに異なりますよね。
そして、中学受験と高校受験との偏差値の差は、10~15程度の差があるといわれています。高校受験での偏差値65程度を、そのまま中学受験に当てはめた場合、偏差値50程度になります。それほど中学受験をする生徒の平均レベルは、相当に高いといえます。
具体例を挙げると、慶応義塾高校と慶應義塾普通部は、偏差値で約16の差があります。
慶應義塾普通部⇒偏差値59 ※1
慶應義塾高校⇒偏差値75 ※2
※1 四谷大塚50偏差値表より。
※2 各種データの平均値。
②どんなところが偏差値を出しているの?!
中学受験の偏差値表は、各進学塾や模試会社などが提供しています。例えば、
四谷大塚
首都圏模試センター
日能研
各社、それぞれに特徴があり、目的によって受け分ける必要があります。特に、四谷大塚と首都圏模試センターは、多くの塾や学校が参考にしています。
四谷大塚
⇒多くの受験生が受ける、偏差値表のスタンダード。50偏差値表(合格可能性50%)と80偏差値表(合格可能性80%)の二種類があり、男女別に偏差表が発表されています。
首都圏模試センター
⇒中堅校以下の合格判定に強みを持つ。模試の問題も比較的易しく、四谷大塚に比べ、偏差値が出やすいことも特徴です。中堅校以下を受験予定の方は、首都模試の偏差値表参考になります。
③『偏差値50・55・60の壁』とは。
模試を定期的に受けていくと、ほとんどの生徒は、『偏差値50、55、60の壁』にぶつかります。これらの壁を超えるとき、それまでの勉強の質を変えないと、なかなか壁を超えることはできません。
目安は、
偏差値50~ 計算・基本問題がきちんと解けるようになると到達できるレベル。
偏差値55~ 標準問題と応用問題の小問が解けるようになると到達できるレベル。
偏差値60~ 応用レベルも臆することなく解けるようになると到達できるレベル。
中学受験の勉強を始めて、初めての模試の結果、多くのお父さん、お母さんは驚きます。偏差値がどの科目も50に届いていないことがほとんどだから。こんな悪い成績とったことがないと非常に不安になります。
しかし、これまでお話したように、中学受験の模試の基準は、他の模試と全く異なります。公立小学校の平均レベルの生徒で、偏差値30~35程度。そのため、「もしかして、うちの子は相当できないのかしら。」なんて悩む必要はありませんよ。母集団のレベルが、高校・大学受験と異なるんです。偏差値という指標を絶対視せず、必要なことを検証して、次の勉強に活かしていきましょう。
中学受験をする本質は、『子供のより良い教育環境の確保』です。うまく、偏差値を使いこなしましょう。
それでは、次回も一緒に帰国入試知識を勉強しましょ!