
慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部が公開している帰国生の出身国別受験者数を見ると、中等部と高等部で出身国の構成がかなり違います。これは入試方式の違いによるものです。
アメリカがトップなのはどちらも同じ、でもその先が違う
中等部・高等部ともにアメリカ出身が一番多い点は共通しています(中等部52名、高等部51名でほぼ同数)。
ただ、米英を合わせた比率で見ると、中等部が41.5%なのに対して高等部は47.7%。高等部の方が英語圏出身に寄っています。シンガポール・ドイツ・インドも高等部の方が比率が高く、シンガポールは中等部で7位タイだったのが高等部では3位まで順位を上げています。
逆に中等部で多いのはアジア圏です。タイ・中国・中国(香港)・台湾は、どれも中等部の方が高等部より人数・比率とも上回っています。


※慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部HPより
理由は入試方式にある
この差は生徒の資質などではなく、入試方式の違いによるものと考えられます。
まず、高等部の入試には英検準一級相当の英語資格という出願資格があり、科目も数学と小論文のみです。出願の時点で一定の英語力が必要になるため、英語圏に住んでいる子の方がこの基準をクリアしやすくなります。結果として応募者全体に占める英語圏出身の比率が上がります。
今回のデータは最終居住国ベースの集計です。インドも高等部で比率が上がる国のひとつですが、最終居住国がインドというだけで、英語力の背景まで判断はできません。インド在住の子はインターナショナルスクールに通っているケースが多いのですが、それ以前に小学校時代をアメリカで過ごしているケースも多く、最終的な居住国はインドでも、英検準一級相当をクリアできる英語力を持っています。
一方の中等部は、英語・算数・国語の3科目方式と算数・国語・理科・社会の4科目方式の2パターンから選べます。英語を必須にしない方式もあるため、特にアジアの日本人学校出身の生徒が参入しやすくなっています。中等部にアジア圏出身が多いのは、この間口のf広さによるところが大きいです。
有利不利の話ではない
これは「英語圏に住んでいれば有利」「そうでなければ不利」という話ではありません。高校入試の英検準一級相当という基準は住んでいる国に関係なく一律に課されるものですし、非英語圏に住みながらこの基準をクリアしている受験者(合格者)ももちろんいます。
出願資格として英語力の基準が設けられている結果、応募者全体の出身国の分布が変わる、という構造的な話です。中等部と高等部で出身国の顔ぶれが違うのは、生徒個人の資質ではなく、入試方式が応募者層をどう絞り込むかの違いといえます。
まとめ
慶應SFC帰国生入試では、中等部と高等部で帰国生の出身国の傾向に違いが見られます。その背景にあるのは、生徒の資質や国ごとの違いではなく、入試方式や出願資格の違いです。
高等部では英検準一級相当の出願資格があるため、英語力を備えた受験者の割合が高くなります。一方、中等部は英語を必須としない受験方式もあり、より幅広い地域の帰国生が受験しています。
出身国だけで受験の有利・不利を判断するのではなく、入試制度の違いを理解したうえで、自分に合った受験準備を進めることが重要です。
