先日書いた公立中高一貫についての記事が好評だったこともあり、今回は都立高校入試、特に帰国生入試をテーマにお話します。
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         ここ数年人気が上がってきている、都立日比谷高校
都立高校と聞くとどのようなイメージをもっていますか?
まずは、都立高校の歴史から。早速ですが、戦後1960年代、東京大学の合格者数は、都立高校がずば抜けていました。当時のデータでいうと、
1962年(昭和37年)
全国第1位 日比谷高校 184名
全国第2位   西高校 121名
全国第3位  戸山高校 105名
全国第4位  新宿高校  92名
全国第5位 小石川高校  73名
ちなみに現在、全国1位の私立開成高は、第7位で67名合格でした。東大合格という尺度でいうと、都立高校には、極めて学力が優秀な生徒が集まっていたことがわかります。
しかし、現在は、TOP10にランクインする学校はすべて私立高か国立高となり、都立高校はランクインしていません。その凋落のきっかけになったのが、1960年代に行われた学区群制定でした。これは、競争が過激になったことを受け、学区を制定し競争を軟化することが目的の一つだったのですが、完全に裏目にでてしまい、以前のレベルの生徒が確保できなくなってしまいました。案の定、その後東大合格者数は減り続け、90年代には、数名にまで激減するのです。
そうした中、石原都知事時代に都立の学区が全面撤廃され、都内各地の優秀生が日比谷、西といった旧名門校を受験するようになり、優秀生が集まりだした結果、2000年代から進学実績も向上するに至りました。もちろんその間、公立高校授業料無償化やSSH(文科省認定 スーパーサイエンスハイスクール)に指定されるなど、追い風もあったりしたのですが。
そんなこんなで日比谷高校は、2013年度には、29名の東大合格者を出し、復活してきています。来年度以降は、更に伸びるとみられます。現在、東京都では、日比谷に限らず、公立高校が勢いを取り戻しつつあります。結果、90年代は、私立の受け皿のような位置にあった都立高校が、今や私立をけって公立に進むケースも増えてきています。特に上位生では、開成高を蹴って日比谷高に進学する生徒も。          
 
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            帰国生の受け入れを積極的に行っている、都立国際高校
そんな中、都立高校の中には、帰国生を受け入れ、海外大学の進学もサポートする公立高校が実はあります。そうした学校は、授業システムも帰国生に合わせている点が特徴的です。
【帰国入試にて受け入れ体制のある高校】
①三田高校、②竹早高校、③国際高校、④日野台高校の4つの学校で募集しています。募集要項は、http://www.takehaya-h.metro.tokyo.jp/pdf/kikokuboshuu2604.pdf
【教育課程が帰国生中心に組まれている高校】
③都立国際高校 
募集要項 1年生は、4月入学と9月入学の各2回、全学年⇒編入試験を受付。
都立国際高校は、外国人生徒の多数在籍や専門教科※選択制で海外大学進学英語などが用意されるなど、受け入れ体制が充実しています。そのため、長く海外にいて、日本語のほうが苦手という生徒でも、習熟度別授業が用意もあるので、無理なく日本の高校課程の勉強に進むことができます。
しかも、(実際にこの授業をとっているのは、少数なんですが、)海外進学英語という授業が用意されているので、TOEFLやSATといった海外大学進学用の勉強ができます。3年後、海外の大学にいくということになった場合も学校で対策してもらえるのは、魅力のひとつですよね。ちなみに、これまでプリンストン大学やカリフォルニア大学バークレー校に卒業生が進んでいます。
そうはいっても、やはり大多数は、国内の大学に進学をします。それが、在籍1学年240人中100名近くが毎年早慶上智にいずれかに合格するという進学校だったりします。
もちろん、全員帰国子女というわけではなく、在京外国人も併せて、65人/定員240人が帰国生or在京外国人ですのでご注意を。まあ実際、国内生がいるほうが生徒の多様性という点で優れていますよ。かくはともあれ、国際高校が他の公立高校に比べ、帰国生受け入れのシステムが機能し、充実しているのは確かです。
このように今後、都立国際高校のような帰国生を対象の高校は注目されていくでしょう。実は国際高は、2017年度に公立高として、全国初『国際バカロレア』認定校になるため、動き出しています。帰国生として、入るだけでなく、出口も今後海外に開かれていくそんな公立高校の取り組みは、大変楽しみですね。
高校受験を考えていらっしゃる方は、都立高校も選択肢にいれてみてはどうでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。それでは、次回も帰国入試知識を増やしていきましょう!
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