4月17日毎日新聞記事
「<開成高>来年度から学費全額免除制度 入試前に申し込み」と報道。
f:id:tapdan:20100417155033j:plain
              開成の恒例行事 「ボートレース」
全国最多の東京大合格者を輩出する私立開成高が来年度から、経済的に厳しい家庭の合格者を対象に、入学金や授業料の全額免除制度を創設する方針を決めた。家計を理由に受験を諦めている優秀な生徒を受け入れるのが狙いで、志願段階で申請できる制度は難関校では例がないという。私学受験に詳しい関係者は「他の私立校にも波及すれば進学の道が広がる」といい、私学トップ校の決断は他校にも影響を与えそうだ。 <記事引用>
昨日、上記の報道がなされました。ちょっと気になったこの記事についてお話します。
数年前から東京大学では年収400万以下の世帯出身の学生は、学費が無料となる制度が始めています。そして来年度から私立最難関のひとつ、開成高校もこれを参考に制度をつめていくそうです。
これまで、入学後に経済的困窮した場合、学費免除するよ、という制度は、もともと開成、麻布、駒場東邦等にもありました。しかし、入学前から免除を打ち出した開成の行動は、一考の価値があります。
そして、この、、「高校」に限る、というのがポイントです。
この動きを考えるにあたって、その背景をお話すると、近年の都立高校の復活が関係しています。
では、ここ最近の日比谷高校の東大合格実績を見てみましょう。
2007年 28人
2014年 37人
と順調に東大合格者数を増加させています。
それに加え、都立高校の授業料無償化などもあり、ここ数年で、開成や筑波大駒場などを併願校として合格しても蹴って日比谷高校に進学する受験生が増えてきています。都立が人気回帰してきているのです。
そのため、そのような生徒にも開成に進学してほしいため、今回の制度を始めたという狙いが実はあるのです。
しかし、話はそれだけで終わりません。開成にはこの制度は、別の価値ももたらします。それは、生徒の多様性です。
年収400万以下となると、確実に進学塾に通えない生徒がでてきます。したがってほぼ学校の勉強と自学自習だけということになります。でも実は、開成や早慶って高校入試に高校の内容が入っていたりするんです。なぜなら、中学進学組のカリキュラムに合わせる必要があるから。
一方で、進学塾にほとんど通わず、開成や難関校に合格できる受験生も少なからずいます。そんな生徒は、もともとの地頭がよく、性格的にもたくましかったりします。そのような生徒がひとりでもいると、似た環境で育った生徒だけの集団は、刺激をうけることでしょう。
そういった意味で、今回の制度は開成にとってプラスに働くんです。
ちょっと話はそれますが、実は東京都では高校に合格した場合、塾にかかった授業料を申請すると都が出してくれる制度があったりします。
あまり知られていませんが、、、
このような、私立学校の動きは、教育界を少しずつ変え、子どもたちの環境や選択肢を少しずつ変えていくでしょうね。
数年後が楽しみです。
また、次回も帰国受験知識を一緒に増やしていきましょ!
【海外教育についてのブログ一覧】