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今回お話するのは中学受験(帰国枠)の実情について。
中学受験をそろそろ考え始めている方も多いのではないでしょうか。特に海外に住んでいると、国内の事情に疎くなってしまいがちですよね。そこで、中学受験の実情についてお話します。
帰国枠入試を実施する中学は、そのほとんどが首都圏の学校です。地方の中学ではほとんど帰国枠は行われていません。海外から東京に帰国される家庭が多いのが実情です。
その帰国枠入試受験の資格はというと、概ね
「海外滞在2年以上・帰国1年以内」
そして、受験科目は大きく2パターンに分かれます。
①英語+α
②算数・国語+α
①はインターナショナルスクールや現地校出身者
②は日本人学校出身者
上記の受験生をイメージして入試設計がなされています。
①の英語レベルは年々上昇傾向にあり、小6生で英検準1級ホルダーも珍しくなくなりました。また、一方で②の枠が最近増えてきています。英語を使わない日本人学校出身者向けの入試です。その背景にはアジアへ進出する日本企業の存在があります。年々アジアへの駐在者が増えているのです。実際、アジア日本人学校の小学生数は、この10年で約20%伸びました。
H17.4→H27.4 《外務省データ》
10,271名→12,383名(+20%
さらに最近ではアジアの日本人学校出身でありながら、英検2級準1級レベルの英語力を保有している生徒まで出てきています。つまり、算国の学力が国内生とほぼ変わらず、英語力もある程度あるという生徒です。こうした生徒は、算国のみが試験科目である学校(学習院中等科など)から英語を必要とする学校まで幅広い選択肢があります。近い将来、こうした生徒や英語を学んだ国内生が台風の目となり、今後の帰国入試や英語入試を変えていくでしょう。
実際、グローバル入試という形で、海外滞在経験がなくても英語受験ができる学校がこの3年で約15校から約60校へ4倍に増えました。
つまり、日本人学校出身者は(できれば)英語、インター・現地校出身者は国語・算数をきちんと磨き上げると他の生徒との差別化となり、帰国枠入試における選択肢が増える、これが帰国枠の中学受験の実情なのです
【中学受験の常識・非常識 樋口義人著】
中学受験の常識・非常識 (角川oneテーマ21)

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